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17- D- 0188 201 7 年 6 月 6 日
総合建設大手各社の 17/ 3 期決算の
注目点
総合建設(ゼネコン)大手各社(大成建設、大林組、清水建設、鹿島建設の 4 社)の 17/ 3 期決算および 18/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。
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業界動向
建設工事受注動態統計調査によれば、16 年度の大手 50 社の国内建設工事受注総額は 14 兆 7, 907 億円(前 年度比4.0%増)と 6 年連続で増加した。発注者別では、民間が 10 兆 879 億円(同 5. 1%増)と 6 年連続で 増加し、公共機関が 3 兆 8, 685 億円(同 8. 4%増)と 15 年度の減少から再び増加に転じるなど、国内建設市 場は好調に推移している。当面、東京オリンピック・パラリンピックにおける施設整備や首都圏での再開発 など関連工事の発生により、国内建設市場は堅調に推移する見通しである。また、東京五輪後の 20 年以降 についても、首都圏の大型再開発やリニア中央新幹線などの大規模プロジェクトが控えており、建設需要の 急激な腰折れ懸念は従来よりも後退している。一方、国内における建設技能労働者は減少傾向にあり、担い 手の確保や生産性向上により施工能力を維持することが建設業界の課題となっている。大手を中心に建設技 能労働者の賃金アップや休暇日数の増加などによる待遇改善に取り組んでおり、新規入職者の獲得と離職者 の抑制により、中長期的に建設技能労働者の確保ができるか注目している。また、プレキャスト工法などの 効率化に資する工法の普及・開発や建機の自動化技術の活用などにより、生産性を高めることも求められて いる。
海外については、大手4 社ともに中長期的な成長の観点から注力している。北米やアジア地域などを中心 にインフラ建設需要が旺盛だが、過去に発生した不採算案件の反省から採算重視の受注を徹底している。さ らに、受注方法の見直しやプロジェクトマネジメントの強化を進めるなど、展開エリアにおける事業体制を 整備しており、今後の受注拡大と収益確保の両立がポイントとなる。
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決算動向
17/ 3 期の大手 4 社の建設事業受注高合計(単体)は 5.4 兆円(前期比 3.8%増)と 4 期連続で増加した。 大成建設、大林組が受注減、清水建設、鹿島建設が受注増など、個社要因により増減はあったものの総じて 好調な受注環境であった。新国立競技場や有明体操競技場などの東京五輪関連工事に加え、オフィスビル、 ホテル、マンションなどの大型工事の受注がみられた。
17/ 3 期の大手 4 社の連結売上高合計は 6. 7 兆円(前期比 0. 3%増)と 6 期連続で増収となり、営業利益合 計も5, 586 億円(同30.1%増)と4 期連続で増益となった。受注環境の好転に伴う受注時採算性の改善や追 加工事・設計変更の獲得、各種コストの上昇一服が寄与した。個社別でも 4社全てが増益となり、期初想定 を大きく上回る営業利益となった。また、鹿島建設、大成建設においては、過年度に収益を圧迫したアルジ ェリアでの大型不採算工事が発注者との合意解約に至っており、追加損失のリスクはなくなっている。
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17/ 3 期末の財務状況をみると、利益蓄積に伴う利益剰余金の増加などにより 4 社全ての自己資本が前期 末比で増加し、自己資本比率も上昇している。さらに、有利子負債も 4社ともに前期末比で減少し、なかで も大成建設と鹿島建設は実質無借金になるなど、財務基盤が強化されている。
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格付上の
注目点
18/ 3期の大手 4社の建設事業における受注計画は前期比 6. 0%減である。手持ち工事の施工が17年後半 から 20 年前半に集中する見込みであり、施工能力の制約からその間の受注の積み上げは難しい。また、近 年は工期の長い大型工事が増えており、施工期間中に労務費や資機材費が上昇するリスクもある。そのため、 受注量の確保と将来のコスト上昇を織込んだ価格での受注が両立できているか、注目している。
18/ 3 期の連結売上高合計は 6. 9 兆円(前期比 3. 1%増)、営業利益合計は 4, 620 億円(同 17. 3%減)と 5 期 振りの減益計画である。主な要因は、①首都圏における大規模オフィスビルなどの再開発工事の本格化によ る労務・資材・機材などの需給のひっ迫によるコスト上昇を考慮していること②設計変更・追加工事の獲得 を織込んでいないこと③大型工事の中には採算が厳しい工事もあり、リスクを保守的に見積もっていること - である。一方、近年では公共工事などにおいて、設計変更・追加工事が認められやすくなっているため、 大規模な不採算工事が発生しなければ、利益が上振れする可能性があるとみている。
また、18/ 3 期も高い利益水準が続く見通しであり、利益蓄積と有利子負債の削減による財務基盤の強化 が進むと考えている。中長期的な収益の安定化に向けて、大半の会社が M&A や賃貸用不動産の取得などを 進める方針だが、当面のキャッシュフロー創出力や自己資本の増加ペースを踏まえれば、各社ともに財務基 盤の一段の強化が見込まれる。今後、各種投資が収益の安定化に貢献していくか確認していく。
(担当)窪田 幹也・下田 泰弘
(図表 1)総合建設大手 4 社の業績 (単位:億円)
建設事業
受注高
売上高 営業利益 経常利益
親会社株主に
帰属する
当期純利益
大成建設 16/ 3 期 13, 309 15, 458 1, 174 1, 177 770
( 1801) 17/ 3 期 13, 241 14, 872 1, 408 1, 445 905
18/ 3 期予 12, 950 16, 100 1, 250 1, 260 870
大林組 16/ 3 期 14, 002 17, 778 1, 063 1, 112 634
( 1802) 17/ 3 期 13, 483 18, 727 1, 337 1, 401 945
18/ 3 期予 12, 800 19, 150 1, 345 1, 400 950
清水建設 16/ 3 期 12, 846 16, 649 946 955 593
( 1803) 17/ 3 期 14, 243 15, 674 1, 288 1, 311 989
18/ 3 期予 14, 000 16, 000 965 1, 000 690
鹿島建設 16/ 3 期 11, 880 17, 427 1, 110 1, 133 723
( 1812) 17/ 3 期 13, 045 18, 218 1, 553 1, 634 1, 048
18/ 3 期予 11, 000 18, 300 1, 060 1, 200 820
4 社合計 16/ 3 期 52, 037 67, 312 4, 293 4, 377 2, 720
17/ 3 期 54, 012 67, 491 5, 586 5, 791 3, 887
18/ 3 期予 50, 750 69, 550 4, 620 4, 860 3, 330
(出所)各社決算資料
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(図表 2)総合建設大手 4 社の完工総利益率(単体) (単位:%)
完工総利益率 土木 建築
大成建設 16/ 3 期 12. 0 16. 3 10. 5
( 1801) 17/ 3 期 14. 6 18. 9 13. 0
18/ 3 期予 12. 3 15. 2 11. 3
大林組 16/ 3 期 10. 8 15. 1 9. 4
( 1802) 17/ 3 期 13. 0 16. 1 12. 0
18/ 3 期予 12. 8 14. 4 12. 4
清水建設 16/ 3 期 9. 9 8. 4 10. 3
( 1803) 17/ 3 期 13. 2 12. 3 13. 5
18/ 3 期予 10. 8 10. 0 11. 1
鹿島建設 16/ 3 期 11. 9 14. 6 10. 8
( 1812) 17/ 3 期 14. 7 18. 2 13. 4
18/ 3 期予 11. 4 13. 7 10. 3
4 社単純平均 16/ 3 期 11. 2 13. 6 10. 3
17/ 3 期 13. 9 16. 4 13. 0
18/ 3 期予 11. 8 13. 3 11. 3
(出所)各社決算資料
(図表3)総合建設大手 4 社の財務指標 (単位:億円、%)
自己資本 有利子負債 ネット有利子負債 自己資本比率
大成建設 16/ 3 期 5, 178 2, 546 - 1, 195 31. 2
( 1801) 17/ 3 期 5, 687 2, 381 - 2, 974 32. 3
18/ 3 期予 - 2, 600 未満 - -
大林組 16/ 3 期 5, 160 3, 463 1, 789 26. 4
( 1802) 17/ 3 期 5, 941 2, 733 762 29. 5
18/ 3 期予 - 2, 700 - -
清水建設 16/ 3 期 4, 807 3, 924 1, 181 27. 9
( 1803) 17/ 3 期 5, 717 3, 400 242 33. 9
18/ 3 期予 - 3, 500 以内 - -
鹿島建設 16/ 3 期 4, 712 3, 785 1, 366 25. 0
( 1812) 17/ 3 期 5, 485 3, 729 - 13 27. 5
18/ 3 期予 - 3, 700 - -
4 社合計 16/ 3 期 19, 857 13, 718 3, 141 -
17/ 3 期 22, 830 12, 243 - 1, 983 -
18/ 3 期予 - 12, 500 - -
(出所)各社決算資料
※ 18/ 3 期予の 4 社合計有利子負債の計算では、大成建設を 2, 600 億円、清水建設を 3, 500 億円とした
【参考】 発行体:大成建設株式会社
長期発行体格付:A + 見通し:ポジティブ
発行体:株式会社大林組
長期発行体格付:A + 見通し:ポジティブ
発行体:清水建設株式会社
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